形と自覚
この業界で仕事をさせていただき、早いもので２５年になります。
保険会社に入社したばかりの頃、父から言われたことは、
新入社員の心得として、「誰よりも早く出社しろ」
ということでした。
確かに能力もなくこの業界で通用するかどうかわかりませんでしたから、
当初は父の言うことを、ひたすら形だけ実践していました。
しかし、朝早く出社することについて、自分にとってそれほど
意味のあることだとは思っていませんでした。
やがて、後輩が入ってきて、いつの間にか自分よりも早く
出社して来る社員がいるようになりました。
同時期に自宅を転居し、以前より通勤に時間がかかるようになって、
「朝一番に出社するのは、後輩に譲ろう」
と、次第に早朝出社を心がけなくなりました。
先日、ある勉強会に参加した時のことですが、京都には
百年以上続く老舗が六百社もあるということを聞きました。
この老舗に共通した家訓は「朝寝すべからず」だそうです。
私は、よく言われる重役出勤をしたいとは思いません。
だからといって、朝一番に出社して社員がくるまでに掃除をして、
という心得もありません。
しかし、朝早めに出社することが自身の成長や、
会社の発展に重要だということが、漠然としていますが、
このことをきっかけに何となく感じるようになってきました。
最近ではあまり夜更かしをせず、体調管理に気を使い、
朝早めに出社するように心がけています。
こうすることで一日の仕事のスタートが清々しく、能率が良く
優先順位が明確になるようで、私には向いている気がします。
また、思いのほか社員が早く出社していることにも気付かされ、
誰も知らないところで努力している社員の姿が見えて、
とても頼もしく感じることもあり、一日の仕事も充実します。
妻も嫌な顔せず応援してくれて、これら全てを素直に感謝したい
気持ちにもなります。
２５年前の「誰よりも早く出社しろ」とは違った趣ですが、
改めて続けていきたいと思います。
そうすると不思議なもので、原点にかえって出直そうという
気持ちが沸々と湧いてきます。
しかし、一方ではこのような言動が無意識のうちに社員の
プレッシャーになったり、強要するような事の無いよう、
慎まなくてはならないとも思います。
弊社もこの９月でようやく設立１０年を迎えることが出来ました。
皆様の温かいご支援、ご愛顧に深く感謝いたします。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
