平成25年税制改正の利点は
平成25年税制改正大綱では、相続における基礎控除額の減額等
増税にばかり関心が向いています。
が一方で、メリットのある改正点もみられます。
この利点について、当社顧問の小林進税理士に問いました。
-今回の税制改正でオーナ経営者や資産家の方から質問を受けるのは、
どのような項目でしょうか?
小林税理士;
そうですね、相続・贈与に関する質問が多いですね。
-やはり増税を気にされている方が多いのでしょうか?
小林税理士;
はい、消費税に関しては、もう落ち着きましたし、
法人税の減税は昨年でした。
今回の改正では、雇用関連の減税で給与を増額すれば
税額控除できるというものがありますが、この制度は、
平成28年の3/31開始事業年度で終わります。
この制度が終わったからといって給料下げるわけには
いかないですからね。
普通、給与を一回上げてしまうとずっとそのままですから、
なかなか使いにくいのかなと思います。
だから、法人税などより大きい改正のある相続・贈与に
関心がいってるのだと思います。
-法人税で言うと、交際費は800万円まで全額損金になるらしいですが...。
小林税理士;
そうですね。しかし、中小企業庁とか経済産業省が出している
税制改正の要望では、適用期間が1年間で平成25年度末まで
となっていますので、1年間限定になる可能性もあります。
そうなると、あまりインパクトはありません。
マスコミに注目を浴びさせて、大きく報道しておいて
増税の気をそらせようとしているための改正なのかな
という感じもします。
-なるほど、法人税関係ではあまり大きな目玉はないということですね。
資産家の方は教育資金贈与について関心が高いようですが...。
小林税理士;
昔から教育資金の贈与についてはお客様に結構聞かれていて、
お孫さんが何人もいるような資産家の方はお孫さんの教育費は、
おじいちゃんの口座からダイレクトに引き落としてください
というお話はしていました。
なぜなら、もともと扶養義務者相互間における教育費・生活費の
贈与は非課税という規定がありますので。
-今回の改正で何が変わるのでしょうか?
小林税理士;
今までは、教育資金が必要になった時にその都度、
贈与しなければなりませんでした。
つまり、当たり前の話ですが、資金が必要になった時に
おじいちゃんおばあちゃんが生きていないと駄目でした。
その時に既にお亡なりになられていると、一回相続税が
課税された財産で教育費を負担することになります。
-なるほど、子供が小さくても将来必要になる分を先に贈与できるのですね。
今は婚期が遅くなっているので、お孫さんもまだ小さいという経営者の方も
たくさんいらっしゃいますからね。
小林税理士;
はい。例えば、今お孫さんが0歳だとすると18年後に大学に
行くまでは生きているかどうかわからないという時でも、
平成25年の4月1日から27年の年末までに信託銀行などに
お孫さん名義の口座を作って、1500万円預ければ、その時点で
おじいちゃんおばあちゃんであるご本人の相続財産から
1500万円減ります。
その分の相続税を払わなくて済みます。
-資産家の方にとっては非常にいい制度ですね。
小林税理士;
今までは、教育資金が必要なときでないと贈与できなかったので、
贈与するタイミングをコントロールできませんでした。
この制度によってお孫さんが30歳になるまでの間であれば
コントロールすることができるようになりましたので、
すごく大きいと思います。
ただし、お孫さんが30歳になるまでに使い切らなかった場合には、
残った金額に対して贈与税がかかりますので注意が必要です。
新聞や雑誌を見ると増税の方が目につきますが、このような制度を
上手く利用すれば、増税分も吸収されるかもしれません...。
是非、参考になさってください。