確実に出来ることを一つ
私が中学生の頃のことです。
夏休みで暇を持て余していたら、編み物教室を経営していた叔母に
「うちへ来てアルバイトをしないか。」と声をかけられました。
いつも笑顔で、何かにつけ褒めてくれる叔母が好きだった私は、
小遣い欲しさもあってに行ってみると、
「何処でもいいから気になるところを2時間掃除をしなさい。」
「掃除の仕方はいたって簡単、自分が納得いくように綺麗にしなさい。」
と命じられたのです。
当時の私は親に怒られることばかりしていて、
何をやっても中途半端で夢中になることができませんでした。
でも、この時の私はどういうわけか、叔母に褒められたい一心で
一番気になった給湯室を、時間の経つのも忘れて徹底的に掃除しました。
自分が満足出来るくらい綺麗になったので、叔母に報告し見てもらいました。
「よくここまで頑張ったね。」
「とてもいい子だ。伸市ならその気になれば何でもできるよ。」
と、叔母は褒めてくれました。
そして、もう一言
「綺麗にすると、周りの汚いところが目立つようになるだろう...。」
と、話したのです。
確かに、掃除をする前は気づかなかったのに、
ある場所を綺麗にすると、手を加えなかった箇所の汚れが目に付きます。
そして、次にその場所も綺麗にしたくなりました...。
話を変えて、我々が目標達成に向かって計画を立てるとき、
『あれもこれもやらなくては...。』
と、色々なことを行動目標として考えます。
結果、やることが余りにも多くなり、自分のキャパやスキルを超えてしまう...。
そして、せっかく立てた計画なのに、どれも上手くいかず終わってしまった...。
こんな経験はありませんか?
それよりも、確実に出来ることを、まず一つだけ真剣に一生懸命行う。
すると、次にすべきこと、打つべきことが明確に見えてくる。
そして、そのことに対して、また一生懸命行う。
この繰り返しの方が、ずっと上手くいく気がします。
成功の秘訣。
叔母は私に、このことを教えたかったのでしょう。
言葉だけではなく、身をもって...。
今では、懐かしい、有難い思い出です。