妥協せず、精進を続ける
俳優の今井雅之さんが、病気の治療のため、
舞台『THE WINDS OF GOD』の出演を断念されました。
涙ながらの記者会見がとても印象的でした。
私があえて言うまでもないことですが、
『THE WINDS OF GOD』は、ご自身の原作、脚本により、
1988年の初演から数十回にわたり舞台の再演が行われ、
また、映画やテレビドラマも制作されています。
いわば、今井さんのライフワークともいうべき作品なのですが、
数年前のある番組で
「20数年間、数えきれないくらい演じているが、
一回も満足のゆく出来だったことは無かった。
本物ではなく、どこかに嘘があった。」
と仰っていたと記憶しています...。
20数年間経ても、満足のゆく演技が出来ていないと、
より完成度の高い芝居を目指して妥協しない、
"役者魂"には感服させられます。
是非、今井さんが完治されて、
元気に再演をしてほしいものです。
一方、劇団四季の人気ミュージカル「ライオンキング」。
1999年の初演以来、15年が経過し、
昨年、日本通算公演回数9000回を突破しました。
そして、近いうちに10000回に達すると宣伝されています。
ほぼ毎日、同じ公演が続けられていますが、
毎回、公演前に舞台監督が前回悪かった点を指摘し、
俳優が確認したうえで、リハーサルで修正し、
本番に臨んでいると聞きます。
10000回に近い舞台を繰り返しても、
更に高い完成度を目指して、精進を続けているからこそ、
多くの観客を感動させるステージになるのだと思います。
さて、何年も同じ仕事を続けていると、
自分勝手に内容に満足したり、
結果を受け入れて、 譲歩してしまったりします。
妥協はしない...。
精進を続ける...。
双方の姿勢には、大いに学ぶべきものがあります。
※追記
2015年5月28日に今井雅之さんが亡くなりました。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。