うちの女房を守ってくれないか
「うちの女房を守ってくれないか。」
病気が原因で退職した会長から連絡を受け、
入院先の病院に駆け付けた時の
開口一番のお言葉でした。
奥様もご同席されていて、
「私が死んだら保険は、
いくら降りるのか確認しておきたい。」
とおっしゃったので、
金額をお伝えすると、
「それだけあれば大丈夫だな。」と、
ご安心なさった様子でした。
会長は、急に私を呼び出したことを
丁重に詫びながら、
「医者から余命3ヶ月だと宣告された。
実は斎藤君にお願いがあるんだが聞いてくれないか。」
このように話されました。
突然のお話でしたが、
「出来ることなら何なりと申し付けください。」
と伝えました。
続いて会長は、
「女房はお嬢様育ちで世間知らずだ。
私がこの世を去った後に必要な
いろいろな手続きを、
斎藤君のほうでやってくれないか。
例えば、財産の処分や申告など、
特に海外の資産の処分もお願いしたい。
何しろ女房が持っていても
しかたないものばかりだから、
この際全て売却してほしい。」
と話されました。
「私は税理士でもないですし、
海外の資産の売却方法など存じ上げておりません。」
そのように伝えると、
「斎藤君が直接でなくてもかまわない。
出来る方を紹介いただいてもいいんだ。
とにかく斎藤君に任せる。」
と、会長は返答されました。
「私に任されても保険金の請求くらいしかできないので、
専門家をご紹介します。」
とお伝えをした上で、
ご用意されていた財産をまとめた書類をお預かりして、
対策を講じることにしました。
会長のご要望は、
『奥様が困らないようにしてほしい』ということです。
ゆえ、奥様の手を煩わすことのないように、
私がすべての窓口になって専門家を選任し、
万一に備える準備を整えることにしました。
数日後奥様から、
会長がお亡くなりになったと連絡が入りました。
早速、様々な手続きをすることになります。
事前にご要望をお聞かせいただいていたので、
スムーズに事が進んだと思います。
当社の顧問の税理士は、
私よりも若いですが経験が豊富で、
ほとんどのことを一元で行うことが出来ました。
後日、奥様と息子さんが当社にお越しになり、
とても感謝をされました。
この出来事は、私にとって初めての経験であり、
今後も同じことが起きるとは思ってもいませんでしたが、
考えてみますと、この経験こそが
今、私たちが目指すサービスの方向性を
決定づけたものではないかと考えています。
オーナー社長が亡くなると、
会社のことも考えなければなりませんから、
ご家族がすべてをやるのは大きな負担になります。
そんなご家族の負担を軽減するために、
私たちは、
・保険金請求
・遺言書の履行
・相続税の申告等を
ワンストップで行います。
万一の際に、
『バラバラな手続きを一か所でまとめて頼みたい』
お客様から教わった仕事のあり方です。
そのことを胸に刻んで業務に邁進しております。
お客様とのご縁に深く感謝申し上げます。